大きく色鮮やかな花がとても映えるアマリリスの育て方をご紹介しているページです。
ユリに似た花を咲かせるアマリリスですがヒガンバナの仲間です。下記ではアマリリスを育てる時のポイントや管理方法について解説しています。
アマリリスの特徴
アマリリスは中央アメリカや南アメリカを原産とするヒガンバナ科アマリリス属(ヒッペアストルム属)に分類される多年草です。
まっすぐに伸びた茎に花径10~20cmの大きな花を咲かせる球根植物です。春咲き種と秋咲き種に分かれ、球根を植えてから約2か月後に開花します。葉が花茎と同時に伸びるのが特徴です。
花色には赤やピンク、白、黄などがあり、一重咲きのものから八重咲きのものまで、花形も変化に富みます。光沢のある緑色の葉は30~50cmにもなり、太い茎に大輪を咲かせる花姿は豪華な印象を与えます。
1株でも存在感があるので、鉢植えや花壇だけでなく、切り花としてもよく利用されます。近年では、花びらが細く繊細なタイプや小輪の品種も見かけます。
基本データ
難易度 | やや易しい |
流通名 | アマリリス |
成長速度 | やや速い |
花・種 | 春咲き種は4~6月、秋咲き種は10月に開花します |
日照量 | 日光を好むので日当たりのよい場所に置きます |
温度 | 寒さに弱いので冬は霜や雨に当てないでください |
湿度 | 過湿を嫌うので用土には水はけのよい土を使います |
花言葉 | 誇り、内気、おしゃべり、強い虚栄心、輝くばかりの美しさ |
アマリリスが好む環境
日当たりと植えるのに適した場所
アマリリスが元気に育つには日当たりと風通しのよさが必要です。日光を好むため、春から秋にかけては日の当たる屋外やベランダなどで管理します。
ただし、高温にはあまり強くないため真夏は午後の強い日差しが当たらない半日陰へ、梅雨や長雨の時期には雨の当たらない軒下などへ移動させてください。
寒さを苦手とする植物なので、鉢植えで育てている場合は5℃以上を保つ室内へ取り込みます。窓辺などの日のよく当たる部屋で管理します。
しかし、冬の間にある程度の寒さに当てないと花芽が付きにくくなることがあります。10℃以下の寒さに当て、葉が枯れてから室内へ取り込むとよいでしょう。
地植えのアマリリスには盛り土やマルチングなどを施して防寒します。霜や雪が当たらないよう気をつけてください。
季節によって気温や日当たりを管理する必要があるため、地植えよりも鉢植えの方が育てやすいです。地植えにする場合は、植え付ける前に腐葉土や堆肥をすき込んで有機質の土壌を作っておきましょう。
温度・湿度
アマリリスは寒さに弱く、暑さにもあまり強くない植物です。
春から秋にかけては戸外で栽培できますが、低温になる冬の間はできるだけ室内へ取り込みます。葉が枯れた後、部屋の窓辺など日当たりがよく5℃以上を保てる場所で管理しましょう。
高温時に強い日差しが当たると株が弱るので、真夏は半日陰になる場所が適しています。
過湿を嫌うため、基本的にはやや乾燥気味の状態を保ちます。根腐れを防ぐため、植え付ける用土には水はけのよい土を使用します。
用土
アマリリスには水はけと水持ちのバランスがよく、通気性に富んだ用土が適しています。土が常に湿った状態になると根腐れを起こすので気をつけましょう。
園芸店などで販売されている草花用の培養土を使用するのが最も簡単です。自作する場合は、赤玉土(小粒)5:腐葉土4:パーライト1などの割合で混ぜた土がおすすめです。
地植えにする場合は、植え付ける前にあらかじめ腐葉土や堆肥などをすき込み有機質の土壌を作っておきます。水はけが悪い時は川砂やパーライトを加えると改善します。
アマリリスを上手に育てるコツ
水やり
球根を植え付けた際に水を与えたあとは、葉や花柄が伸びるまでは水やりの頻度を減らして乾燥気味の状態を保ちます。
その後は、鉢土の表面が乾いて白っぽくなったらしっかりと水を与えましょう。鉢土から水が流れ出るくらいの量が目安です。
春から秋にかけての生育期には水をよく吸うためたっぷりと水をあげますが、秋になって葉が枯れてきたらペースを落としましょう。
冬の間は水やりを完全にストップします。寒い時期に乾燥させることで開花時の花付きがよくなります。
肥料の与え方
アマリリスの球根には発芽に必要な栄養分が蓄えられているため、植える時に肥料を与えると根が傷む可能性があります。始めは肥料を施さずに育て始めるのが安心です。
葉が出始めたら、元肥として緩効性の化成肥料を与えます。アマリリスは肥料を好む植物なので、葉が伸びている間は規定の濃度に薄めた液体肥料を1か月に2回ほど水やりの代わりに施しましょう。
元肥として施肥した化成肥料が切れてきたら、同じ肥料を再度与えます。株が弱りやすい真夏の時期と、休眠期に入る冬の間は肥料をあげる必要はありません。
冬越し
アマリリスは寒さに弱い植物です。鉢植えの場合は、気温が10℃を下回り葉が枯れたら、5℃以上を保つ室内へ取り込みます。日がよく当たる部屋の窓辺などに置くとよいでしょう。
地植えのアマリリスは、葉が枯れたらマルチングや盛り土などで防寒すると冬を越すことができます。
ただし、氷点下が続くような寒冷地では、秋になったら球根を掘り上げて春まで保管します。掘り上げた球根は室内で乾燥させて冷暗所で管理してください。
アマリリスの選び方
アマリリスの球根を購入する際は、大きさがあり、手に持った時に重みを感じるものを選びます。カビが生えていないか確認ししましょう。
苗を買う場合は、茎がしっかりと太く、葉につやがあるものを選びます。葉や茎に赤い斑点のあるものは、病害虫に侵されている可能性があるため避けてください。
アマリリスの増やし方
球根植物は一般的に、花後の球根についた子球を分ける「分球」という方法で数を増やすことができます。
しかし、アマリリスの球根はなかなか増えないため、鱗茎を使う「鱗片さし」によって増やしますが、園芸初心者には難しい方法です。
大きな株に育つのを待つと、親株が自然に分かれることがあります。親株から分かれてできた子球をハサミやナイフなどで切り分け、それぞれ新しい鉢へ植え付けます。
分球の際は、球根を傷つけないよう注意して掘り起こし、固まった根鉢をほぐしてから分けるようにしましょう。
球根をすぐに植えずに保存する場合は、掘り上げた株を乾燥させてから葉や茎を取り除くと、球根を傷めずに済みます。
アマリリスの植え替え
アマリリスをずっと同じ鉢で育てていると、鉢に根が回って根詰まりを起こしてしまいます。根詰まりは根腐れの原因にもなるので、2~3年に1度を目安に一回り大きい鉢へ植え替えましょう。
アマリリスの植え替えの手順は以下の通りです。
- 1回り大きな鉢に鉢底ネットと鉢底石を敷く
- 清潔な培養土を鉢の2/3程度入れる
- 鉢から株を抜き出し、古い土を優しく落とす
- 株を置き、球根の1/2~1/3が出るよう土を入れる
- 株が安定するまで風の当たらない半日陰で管理する
鉢から抜き出した株の球根に子球が付いている場合は、栄養を取られないよう分球してから植え替えてください。
アマリリスの植え替えの適期は10~11月頃です。
病気・害虫
アマリリスがかかりやすい病気には「赤斑病」が挙げられます。
赤斑病は葉や花茎に赤褐色の斑点が現れる病気です。球根が発症すると生育しないので破棄してください。
春から初夏、秋に長雨に当たるなど多湿になると発症しやすいので、栽培場所の水はけと風通しは常によくしておきましょう。定期的に薬剤を吹きかけることで予防できます。
アマリリスには、高温かつ乾燥した環境下で赤ダニなどのダニ類がつくことがあります。
赤ダニは葉裏に棲みつき、栄養分を吸い取って株を弱らせるため、見つけたらすぐに駆除します。株を横に倒して水で洗い流すと、殺虫剤を使わず退治できます。
アマリリスの毒性や危険性について
アマリリスには他のヒガンバナ科の植物と同様、球根や花、葉にリコリンという有毒成分が含まれます。
球根を誤食したり、株を傷つけた時に出てくる汁液に触れたりすると、嘔吐や下痢、痙攣、皮膚炎などの中毒症状を引き起こす恐れがあります。
犬・猫などのペットや、小さな子どもがいる家庭では、手の届かないところで管理するのが安全です。植え替えなどの作業時には、念のため手袋などを使用しましょう。