フリル状の鮮やかな花を咲かせるカーネーションの育て方をまとめたページです。
母の日と言えば赤いカーネーションの花を思い浮かべる人も多いと思いますが、一輪でも花束でも見応えのする花で5月の母の日が近くなるとギフト用にデコレーションされた鉢植えも良く見かけます。
鉢植えのカーネーションは切り花に比べると長い間花を楽しめ初心者でも比較的育てやすいです。
このページでは自宅でカーネーションを育てる際のポイントについて解説してきます。
カーネーションの特徴
カーネーションは南ヨーロッパや西アジアなどを原産とするナデシコ科ナデシコ属(ダイアンサス属)に分類される多年草です。主に4~6月に開花する四季咲き性の草花です。
母の日に贈る花として広く親しまれ、年間を通してブーケや切り花などに利用されます。フリルを思い起こす繊細な花びらが重なり合う花姿は、ゴージャスで可憐な印象を与えます。
端正な草姿とスパイスのような独特な香りが特徴で、赤やピンク、白、黄など花色も変化に富みます。草丈は10~30cmほどになり、鉢植えでも地植えでも栽培が可能です。
品種が非常に多い草花ですが、大きく分けると1本の茎に1つの花を咲かせる「スタンダードタイプ」と、1本の茎が枝分かれして複数の花をつける「スプレータイプ」の2つがあります。
基本データ
難易度 | 普通 |
流通名 | カーネーション |
成長速度 | 普通 |
花・種 | 主に4~6月に開花する四季咲き性です |
日照量 | 日光を好むため日当たりのよい場所に置きます |
温度 | 暑さ・寒さともに耐性があります |
湿度 | 乾燥した環境を好み高温多湿を苦手とします |
花言葉 | 無垢で深い愛、母への愛(赤)、純粋な愛(白)、軽蔑(黄)、誇り(紫) |
カーネーションが好む環境
日当たりと植えるのに適した場所
カーネーションは、日当たりと風通しがよく、乾燥した気候を好みます。暑さに弱いわけではありませんが、高温多湿は苦手なので梅雨時や夏場の長雨は避けてください。
鉢植え向きに改良されたポットカーネーションは、節の間が詰まって葉が密に茂るため、多湿にはとくに注意します。カビの発生を防ぐため、風通しのよい場所に置き、雨が長引く時は軒下などに移して雨よけしてください。
日照が不足すると、花つきが悪くなりつぼみのまま枯れることがあります。室内の照明でも育てられますが、こまめに日光に当てましょう。日当たりが不十分だと葉が変色することもあります。
寒さにも耐性がありますが、霜に当たると株が傷む可能性があります。鉢植えのカーネーションはベランダや室内に移すと寒さを防げます。地植えの場合は、株元に落ち葉やバークチップを敷いて防寒するとよいでしょう。
温度・湿度
カーネーションは暑さ・寒さともに強い植物です。
ただし、高温が続く日本の夏にはやや弱く、30℃以上の環境では花つきが悪くなり生育にも影響が出ます。軒下や木陰などの涼しい場所へ移すか、日よけを施すとよいでしょう。
四季咲き性の品種は10℃以上であれば冬でも開花します。寒風に当たると株が傷むことがあるので室内の日当たりのよい場所や、風を避けられるベランダなどに移します。
湿度の高い環境が苦手なので、基本的には乾燥気味の状態を保ちます。多湿になると株が腐りやすくなるため、風通しを確保し、長雨には当てないでください。
用土
カーネーションを植え付ける時は水はけと通気性のよい土を使用します。湿った環境を苦手とするため、水はけが悪いと根腐れを起こしやすくなります。
自作する場合は赤玉土(小~中粒)5:ピートモス3:バーミキュライト2などの割合で混ぜた土を使います。園芸店などで購入できる草花用の培養土を使うのもおすすめです。水はけが悪い場合は川砂を少量混ぜると改良します。
酸性土が苦手なので、地植えの場合はあらかじめ苦土石灰をすき込んで土壌の酸度を調整しておきます。
カーネーションを上手に育てるコツ
水やり
鉢植えのカーネーションには、土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えます。鉢底から水が流れ出るくらいの量が目安です。とくに蕾が出る時期、茎が伸びる時期は水を多く必要とするので、水切れに注意します。
ただし、過湿を嫌うため基本的には乾燥気味に育ててください。水を与えすぎると下葉や根が腐りやすくなります。
葉や花に水がかかると株が蒸れて病気にかかりやすくなります。葉を持ち上げて株元へ水を注ぐのがポイントです。
地植えの場合、水やりは基本的には不要です。ただし、晴天が続いて極度に乾燥している時には水やりをしましょう。
肥料の与え方
カーネーションは花をたくさんつけるため、肥料を好みます。植え付けの際に元肥として、緩効性の化成肥料を混ぜておきましょう。
その後は追肥として、生育期間に1か月に1度のペースで同じく緩効性肥料を置き肥します。もしくは、規定の濃度に希釈した液体肥料を1週間に1回を目安に水やりの代わりに与えます。
開花期は花つきをよくするため、カリウムやリン酸を多く含んだ肥料が適しています。
暑さや寒さで生育が衰える真夏と冬の時期は肥料を与える必要はありません。
冬越し
カーネーションは耐寒性に優れた植物です。四季咲き性の品種は10℃以上あれば冬でも花をつけます。
ただし、霜や雪に当たると株が弱ることがあります。鉢植えの場合は寒風の当たらないベランダや室内の日当たりのよい場所に移すと安心です。地植えのカーネーションには株元に落ち葉などを被せてマルチングを施しましょう。
冬は水が乾きにくいため、水やりの頻度を減らして乾燥気味に管理します。地上部が枯れても根は生きているので誤って処分しないようにしてください。
カーネーションの選び方
カーネーションの苗を購入する際は、茎の節がしっかりしているもの、葉が黄色くなっていないものを選びます。葉の裏まで確認し、害虫がついていないかチェックしてください。
蕾が固いものは開花まで時間がかかるため、咲いている花がついた苗を買うとすぐに鑑賞を楽しめます。
カーネーションの増やし方
カーネーションは挿し木によって数を増やすことができます。
挿し木の方法は、まず茎の節から出ているわき芽を5~10cmほどの長さに切り取り挿し穂にします。挿し穂に花が付いている場合は、根よりも花に栄養を使ってしまうので取り除いてください。
土に埋まる部分の下葉を取り除き、切り口を水に数時間つけて吸水させます。赤玉土などの挿し木用の土へ、茎の切り口がつぶれないよう注意して挿し込みます。
その際、切り口を浸す水に発根促進剤を入れておくと根が出やすくなります。
土を乾かさないよう受け皿に水を溜めておき、半日陰で管理しましょう。発根して安定してきたら鉢へ植え付けます。
カーネーションの挿し木は、生育が旺盛になる4~6月または9~10月が適期です。
カーネーションの植え替え
カーネーションをずっと同じ鉢で育てていると、鉢に根が回って根詰まりを起こします。根詰まりは根腐れの原因となるため、鉢植えのものは1~2年に1度、一回り大きな鉢へ植え替えてください。
鉢底から根が出てきたり、水の吸収が悪くなったりした時も植え替えのタイミングです。
カーネーションの植え替えの手順は以下の通りです。
- 1回り大きな鉢に鉢底ネットと鉢底石を敷く
- 清潔な用土を鉢の1/3くらいまで入れる
- 鉢から株を根土がついた状態で抜き出す
- 鉢の中央へ株を置いて土を隙間なく入れる
- 水をたっぷり与え、2~3日ほど半日陰で管理する
鉢から抜き出した株は根鉢を崩さず、そのまま新しい鉢へ植え替えます。
カーネーションの植え替えは、3~5月もしくは9~10月が適しています。
病気・害虫
カーネーションがかかりやすい病気には「灰色カビ病」があります。
灰色カビ病は、カビ菌による伝染性の病気です。発症すると小さな淡褐色の病班ができ、だんだん腐敗して葉や茎がカビに覆われていきます。
病気になった箇所は元に戻らないので速やかに切除します。日当たりや風通しが悪く湿気の高い環境で発症しやすいので、栽培場所の通気性は常によくしておきます。感染を防ぐため、花がらや枯れた葉はこまめに取り除きましょう。
カーネーションにつきやすい害虫には「アブラムシ」がいます。
アブラムシは春に暖かくなると発生しやすく、葉や茎に寄生して養分を吸い取る害虫です。発見したらすぐに粘着テープや霧吹きで取り除くか、数が多い時は殺虫剤を吹きかけて駆除します。
発見が遅れると大繁殖するので、春先には株の間などをこまめにチェックしましょう。
カーネーションの毒性や危険性について
カーネーションに毒性があると証明されてはいませんが、犬や猫などのペットが誤食すると軽度の胃腸障害を起こす可能性があります。
また、皮膚に触れると軽い炎症が生じる場合があります。いずれも原因となる成分は不明です。
重症にはならないものの、小さな子どもやペットのいる家庭では手の届かない場所で育てると安心です。