導入
小石のような変わった見た目をしているリトープスは多肉植物の一種でハマミズナ科の代表的な植物です。
カラフルなお菓子みたいな品種を寄せ植えしたりと楽しみ方も豊富な為、多肉植物愛好家にも人気が高いです。このページではリトープスの育て方について、特殊な生育サイクルに合わせた管理方法を中心に解説しています。
リトープスの特徴
リトープスは南アフリカやオーストラリアなどの乾燥帯・温帯に生息する、ハマミズナ科リトープス属の多肉植物です。南半球を中心に約160種が自生しており、自生地ではまわりの環境の色合いや模様に擬態して動物から身を守っています。
多肉質の丸い草姿から「生きた宝石」と呼ばれ、株の色も緑や茶、白、クリーム、濃紅色など変化に富むため、何種類もコレクションして楽しむ人もいます。人気の品種としては、赤茶色の体に暗い模様が入る「福来玉(ふくりょくぎょく)」や、灰褐色にくっきりとした溝がある「日輪玉(にちりんぎょく)」、灰紫色の落ち着いた色彩が美しい「紫勲玉(しくんぎょく)」などがあり、カラーバリエーションの豊かさが魅力です。
リトープスは1年に1回、脱皮をする植物です。外側の古い葉がしおれて中から新しい葉が形成されます。秋から冬にかけて2枚に繋がった葉の真ん中から花芽を出して開花します。花の色もさまざまで、白や黄、ピンクなどの可愛らしい花を咲かせます。
リトープスは適切に管理すれば園芸初心者にも育てやすい植物です。
基本データ
| 難易度 | 普通 |
| 流通名 | リトープス、イシコロギク |
| 成長速度 | やや遅い |
| 花期 | 秋から春に白・黄・ピンクなどの花が咲きます |
| 日照量 | 生育期の冬場は日光によく当ててください |
| 温度 | 生育温度8~25℃(5℃以下で室内へ) |
| 耐寒性 | 弱い(最低気温が10℃を下回ったら室内へ) |
| 湿度 | 多湿に弱いため休眠期の水やりは控えます |
| 花言葉 | こよなき魅力、用心深い |
リトープスが好む環境

置き場所と日当たり
よく日が当たる風通しのよい場所を好みます。葉焼けを防止するため真夏の直射日光は避けましょう。
屋内で育てる場合
リトープスは年間を通して屋内で育てることができますが、日当たりを好むので窓際などの明るい場所で管理してください。日光によく当てると色鮮やかに育ちます。
ただし、夏場はリトープスが休眠するため強い日差しを当てると葉焼けしたり株が溶けたりすることがあります。直射日光が当たる場所には置かないようにし、レースカーテン越しの明るい日陰などで遮光して管理しましょう。
冬生育型の植物ですが寒さにはあまり強くないため、室内で管理する場合も5℃以上を保つようにしてください。
屋外で育てる場合
リトープスは春から秋にかけて屋外で育てることができます。春と秋には日がよく当たる場所に置いてください。日照不足になると株が上に伸びてしまいリトープスに特有の丸い形を保てなくなります。
梅雨から夏にかけては休眠期に入るため、風通しの良い日陰に移して管理しましょう。多湿に弱いので雨に当たらないよう気をつけます。また、休眠期は直射日光を避けるために遮光ネットなどを利用するのがおすすめです。最低気温が10℃を下回り始めたら暖かい室内へ取り込んでください。
温度・湿度の目安
リトープスは高温多湿を苦手とする植物です。梅雨から夏にかけての休眠期はとくに湿気に敏感になるため、風通しが良く雨が当たらない場所に置くようにします。
冬の寒さにもあまり強くないので、屋外に置いている場合は気温が10℃を切ってきたら暖かい室内へ移します。
リトープスの生育温度は8~25℃前後ですが、冬場の日中であれば室内の気温が35℃程度まで上がっても問題ないでしょう。
多肉植物は葉に水を蓄えているため乾燥には強いです。水が多少不足してもすぐに枯れることはありませんが、冬の成長期には土が乾いてから数日後にたっぷりと水を与えてください。
季節別管理カレンダー
リトープスは夏に休眠し、秋から冬にかけて生育し、春に脱皮するという特殊なサイクルを持っています。年間を通した管理の目安は以下の通りです。
| 時期 | 季節 | 生育サイクル | 水やり | 置き場所・管理 |
|---|---|---|---|---|
| 3〜5月 | 春 | 脱皮期 | 控える(乾かし気味) | 日当たりの良い場所 |
| 6〜8月 | 夏 | 休眠期 | 断水(月1〜2回の葉水のみ) | 風通しの良い日陰(遮光) |
| 9〜11月 | 秋 | 生育期 | 土が乾いてから4〜5日後にたっぷり | 日当たりの良い場所 |
| 12〜2月 | 冬 | 生育期(開花) | 土が乾いてから4〜5日後にたっぷり(真冬はやや乾かし気味) | 室内の日当たり良い場所(5℃以上) |
用土
リトープスは乾燥に強く多湿に弱い植物です。土が常に湿った状態になると根腐れを起こしてしまうので、用土には水はけの良い土を使用します。
自分でブレンドする場合は赤玉土(小粒)2:鹿沼土2:ピートモス2:川砂2:燻炭2、もしくは赤玉土(小粒)4:鹿沼土3:バーミキュライト2:真砂土1などの割合で混ぜた土がおすすめです。
初心者であれば市販されている多肉植物用またはサボテン専用の土を使用してもよいでしょう。
リトープスを上手に育てるコツ

季節別の水やり
リトープスの水やりは季節によって量やタイミングを変える必要があります。
秋になって気温が20℃を下回り始めたら生育期に入るので、春頃までは土が乾いてから4~5日後にたっぷりと水を与えてください。
春になると脱皮が始まります。脱皮し始めたら徐々に水やりの頻度を減らして乾かし気味に管理しましょう。脱皮の時に水が多いと二重脱皮(古い葉が完全に枯れず、その中からさらに新しい葉が形成されて株が小さくなる現象)を起こして株が弱ることがあります。
6月から9月ごろの休眠期には基本的に水を与える必要はありません。湿気にとても敏感な時期なので、雨が当たる場所を避け、風通しを良くしましょう。
葉水の要否と休眠期の霧吹き
リトープスのような多肉植物には基本的に葉水は不要です。葉に水分を蓄えているため乾燥に強く、水を頻繁に与える必要はありません。
季節に応じた水やりを適切におこなっていれば、乾燥が原因で枯れる心配はないでしょう。
ただし、夏の休眠期に断水する場合は、月に1~2回ほど霧吹きで葉水を与えると生育期初期の育ちが良くなります。その際はリトープスの葉が薄く濡れる程度の量に止めてください。
肥料の与え方
リトープスは基本的に肥料を与えなくても育ちます。
肥料を与える場合は、秋から春にかけての生育期に緩効性の固形肥料を2か月に1度のペースで土の上に置くようにします。液体肥料を使う場合は、規定の濃度に薄めたものを月に1回与えてください。
ただし、リトープスは根が弱いため肥料の量が多いと肥料焼けを起こしてしまいます。植え付けや植え替えの時に、元肥として粒状肥料を少量混ぜる程度でも十分です。
夏はリトープスの生育がゆるやかになるため、肥料を与える必要はありません。
冬越しの管理
リトープスは冬生育型の植物ですが、寒さにはあまり強くないので気温が5℃を下回り始めたら室内の明るい場所に移して管理します。
冬場は生育期に入るため、土が乾いたらたっぷりと水を与えましょう。リトープスはゴボウのような直根を伸ばすので、必ず鉢底から水が流れ出るくらいの量を与えます。
低温になる真冬の時期は、成長が鈍くなるのでやや乾かし気味に管理します。土が乾き切ってから4~5日後に水やりをしましょう。
育成トラブル対処(二重脱皮・徒長・根腐れからの見分け方と立て直し方)
リトープスを育てる上で、特に気をつけたいトラブルとその対処法を解説します。
二重脱皮
脱皮期に水やりが多すぎると、古い葉が枯れきらないまま新しい葉がさらに脱皮しようとする「二重脱皮」が起きます。株がどんどん小さくなり弱ってしまいます。見分け方は、古い葉が紙のように乾燥せず、緑色を残してパンパンに張っている状態です。対処法としては、すぐに水やりを止めて断水し、古い葉が自然に枯れるまで完全に乾かし気味に管理します。無理に古い葉を剥がないようにしましょう。
徒長
日光が不足すると、株が上に伸びて間延びした形になります。一度徒長すると元の丸い形には戻りません。対処法としては、徐々に日当たりの良い場所に移して日照を確保します。急に強い日差しに当てると葉焼けするため、レースカーテン越し等から慣らしてください。徒長した株は、次回の脱皮時に新しい葉が丸い形に戻ることを期待して管理します。
根腐れ
休眠期の水やり過多や多湿が原因で根が腐り、株がふにゃふにゃと溶けたようになります。対処法としては、腐った部分が広がる前に健全な部分まで切り落とし、傷口を数日乾燥させてから新しい用土に挿し直して発根を待ちます。早期発見が重要です。
リトープスの選び方
リトープスを購入する際には害虫が付いていないか必ず確認してください。
害虫が付着したものを買ってしまうと株が弱ったり他の植物に被害が及んだりする可能性があります。葉がふっくらしていてハリがあり、間延びしていない苗を選びましょう。
リトープスの増やし方

リトープスは種まきや株分けで増やすことができます。
種まきで増やす場合、まずは花後に枯れた果実を摘み取り、お茶パックに入れて水の中で軽く揉みます。果実の中から種が出てきたらそのまま陰干しをして、乾いたら種を取り出します。乾燥させないよう冷蔵庫で保管し、10~11月頃に種をまきます。
水分が不足しないように管理すると3~4週間で発芽します。
リトープスは成長すると根元に子株をつけます。株分けをする際は、葉を傷つけないように根をつけたまま親株から子株を切り分け、根についた土を軽く落としましょう。
切り分けた株を1~2週間ほど日陰で乾燥させてから、新しい鉢へ植え付けて完了です。リトープスの株分けは10~12月頃が適しています。
リトープスの植え替え
成長したリトープスを同じ鉢で育てていると、鉢が窮屈になり生育が鈍ります。他の多肉植物に比べて成長が遅いため頻繁な植え替えは必要ありませんが、1~3年に1度のペースで一回り大きな鉢へ移すとよいでしょう。
リトープスの植え替えは以下の手順でおこないます。
- 鉢から株を抜き出し、根についた土を軽く落とす
- 1~2週間ほど陰干しをして乾燥させる
- 1回り大きな鉢に鉢底石を敷き、土を1/3程度入れる
- 鉢の中央へ株を置いて土を隙間なく入れる
- 半日陰に置いて管理し、約1週間後に水やりをする
リトープスは水やりや気温の管理が特殊なので、寄せ植えにはあまり適していません。寄せ植えをする場合は、生育サイクルが似ている多肉植物を集めて植えるとよいでしょう。
リトープスの植え替えは花後の10~11月頃が適期です。
病気・害虫
リトープスは特に目立った病気にかかる心配はありません。
ただし、梅雨から夏にかけての休眠期に水を与えすぎると、根腐れを起こして葉のシワが目立ったりしおれたりする場合があります。
また、夏場に湿気が多いと葉の内部が腐って溶けたようになるので、休眠期はできるだけ風通しが良く雨の当たらない場所で管理してください。
リトープスにつきやすい害虫にはネジラミがいます。
ネジラミは根にまとわりつくように発生する楕円形の白い虫です。ネジラミがつくと植物の養分が吸い取られて株が弱ってしまいます。
植え替えの際に根の様子を確認し、ネジラミがついていたら根をよく洗って薬剤に浸しましょう。薬剤につけた株は乾燥させてから新しい鉢へ植え付けます。
よくある質問
水やりの量・タイミングの目安は?
生育期(秋〜冬)は土が乾いてから4〜5日後に鉢底から流れ出るくらいたっぷりと与えます。脱皮期(春)は乾かし気味にし、休眠期(夏)は断水が基本です。季節によって大きく変わるため注意が必要です。
脱皮がうまくいかない(二重脱皮)場合の見分け方は?
古い葉が紙のように乾燥せず、緑色を残してパンパンに張ったまま新しい葉が成長している場合は二重脱皮のサインです。すぐに水やりを止め、乾かし気味に管理して古い葉の栄養が新しい葉へ移行するのを待ちましょう。無理に古い葉を剥くのは禁物です。
屋内だけで一年中育てられるか?
はい、一年を通して屋内で育てることが可能です。日当たりの良い窓際で管理し、夏は直射日光を避けて風通しを良くし、冬は5℃以上を保つようにすれば問題なく育ちます。
初心者でも育てられる難易度か?
適切に管理すれば初心者でも育てられます。コツは「夏の断水と多湿回避」「脱皮期の水やり控え」「冬の日光と水やり」の3点を守ることです。特殊なサイクルに慣れれば、むしろ夏の水やりに気を遣わない分、管理が楽になることもあります。