センペルビウム(センペルヴィヴム)はロゼットタイプの多肉植物で、花びらのように密集する葉姿が綺麗な植物です。
このページではセンペルビウムの育て方について解説しています。
センペルビウムの特徴
センペルビウムはヨーローッパや中東、モロッコなどを原産とするベンケイソウ科センペルビウム属の多肉植物です。和名のクモノスバンダイソウとも呼ばれます。
多肉質の葉が直径1~15cmほどのロゼッタを形成し、株からつるのように茎が伸びて先端に子株をつけます。株の色は緑や赤、紫、茶色など品種によって変化に富み、冬になると赤黒く紅葉するものが多いです。
白い繊毛を蜘蛛の糸のように巻きつけた「巻絹」や、葉先が紫褐色に色づく「カルカレウム・ニグラム」、赤茶色のやや細長い葉がシャープな印象の「相生」などが代表的な品種です。
元来は山岳地帯に生息する多肉植物のため寒さにとても強く、日本では山野草としても流通します。約40種の原種が知られており、ヨーロッパでは古くから園芸植物として親しまれています。
センペルビウムという名称は「永遠に(semper)」、「生きている(vivus)」というラテン語に由来しており、強靭な性質をよく表しています。
基本データ
難易度 | 普通 |
流通名 | センペルビウム、センペルヴィヴム、クモノスバンダイソウ |
成長速度 | 遅い |
花・種 | 品種により2~7月に花芽を伸ばして開花します |
日照量 | 日光を好みますが真夏は半日陰に移しましょう |
温度 | 寒さには強いですが日本の暑さには弱いです |
湿度 | 蒸れに弱いので真夏は雨に当てないようにします |
花言葉 | 節約 |
センペルビウムが好む環境
日当たりと置き場所
日差しが強くなる真夏以外は、戸外の日当たりのよい場所で管理しましょう。
屋内で育てる場合
センペルビウムは屋内で育てることもできますが、日光を好む植物なので日がよく当たる屋外に置くほうが元気に育ちます。
屋内で管理する場合は、窓際などの光が差し込む場所に置いてください。日照不足になると徒長してしまい、茎がひょろひょろと伸びたり葉と葉の間が開いてしまったり、見た目が悪くなります。
定期的に屋外に出して日光に当ててあげるとよいでしょう。
屋外で育てる場合
センペルビウムは寒さにとても強いため、年間を通して屋外で栽培することができます。
真夏以外の季節は、日当たりと風通しのよい戸外で管理してください。高温になる時期でなければ雨に当てても問題ありません。
霜に当たっても傷むことがないため、低温になる冬も屋外に置くことができます。氷点下5℃以下になる日が続くなど非常に寒い時には対策が必要ですが、あまり気温が下がらないときれいに紅葉しないことがあります。
暑さには弱いため、夏は半日陰で管理し、長雨に当てないようにしましょう。
温度・湿度
センペルビウムはヨーローッパなどの山岳地帯を原産とするため寒さには強い植物です。氷点下5℃くらいまでであれば霜が当たっても枯れることはありません。
一方、耐暑性はやや弱いため、夏の期間は直射日光の当たらない半日陰に移しましょう。乾燥には強いですが多湿は苦手なので、梅雨や夏の時期には蒸れを防ぐため雨に当てないようにします。
センペルビウムは春と秋に生育する春秋型の植物です。夏は休眠期となり暑さで弱りやすくなっているので、水やりは控え目にしてください。
用土
センペルビウムのような多肉植物は葉に水分を貯めているため多湿を苦手とします。土が常に湿っていると根腐れを起こしてしまうので、用土には水はけのよい土を選びます。
自分で作る場合は赤玉土(小粒)2:鹿沼土(小粒)2:ピートモス2:川砂2:燻炭2、もしくは赤玉土3:鹿沼土3:ココピート2:川砂2などの割合でブレンドしたものを使いましょう。
初心者であればホームセンターなどで売られている多肉植物用の土を使用するのが最も簡単です。
センペルビウムを上手に育てるコツ
水やり
センペルビウムの水やりは季節によって量やタイミングが異なります。
春と秋の生育期には、鉢土が乾いたら底穴から水が流れ出るくらいたっぷりと水やりをします。土の過湿を防ぐため、受け皿に溜まった水は捨ててください。
休眠期に入る夏と冬は水やりの回数を減らします。センペルビウムは暑さに弱いので、ほぼ断水の状態を保ちましょう。葉がしわしわになったり黒ずんだりした時は土の表面が濡れる程度の水を与えます。
冬場は2週間~1か月に1度、土の表面が濡れるくらいの水をあげましょう。
葉水
センペルビウムのような多肉植物は乾燥に強いため、葉水は基本的に不要です。生育期には土が乾いたら水をたっぷりと与え、休眠期には水の量を控えて適切に管理していれば、乾燥が原因で枯れることはありません。
断水をする夏の時期や、冬に暖房の効いた室内へ取り込む場合は、乾燥を防ぐために霧吹きなどで水を吹きかけてもよいでしょう。
ただし、薄い毛に覆われた品種のものは特に多湿を苦手とするため、葉水は避けましょう。
肥料の与え方
センピルビウムは痩せた土地でもよく育つ丈夫な植物なので、肥料はあまり必要としません。
生育をよくしたい場合は、春と秋の生育期に緩効性の固形肥料を株から離れた土の上に置き肥するか、規定の濃度に薄めた液体肥料を1か月に1度のペースで与えるとよいでしょう。
夏と冬はセンペルビウムの生育がゆるやかになるため肥料は不要です。栄養過多になると根を傷めてしまうので、肥料の与えすぎには注意してください。
冬越し
センペルビウムは寒さに非常に強い植物なので、戸外での冬越しが可能です。日がよく当たり、風通しのよい場所に置いてください。
強い霜に当たっても枯れる可能性は低く、マイナス5℃程度まで耐えることができます。厳寒期が続くような場合など、心配であれば室内へ移してもよいでしょう。
冬場はセンペルビウムが休眠期に入るため、水やりの頻度を減らして乾燥気味に管理します。半月~1か月に1回を目安に、土が乾いてから2~3日経ってから与えてください。
センペルビウムの選び方
センペルビウムを購入する際には害虫が付いていないか必ず確認してください。害虫が付着したものを買ってしまうと株が弱ったり他の植物に移ったりする可能性があります。
葉が固く締まっており、全体的に間延びしていない株を選びましょう。
センペルビウムの増やし方
センペルビウムは株分けと挿し木によって増やすことができます。株分けのほうが成功率は高いでしょう。
センペルビウムの品種の多くは、株の根元からランナー(匍匐状の茎)を伸ばしてその先に子株をつけます。
株分けで増やす場合、土に根付いた子株を抜いて新しい鉢に移す方法が最も簡単です。ランナーの長さは品種によって異なり、親株を囲うように子株が出たり、親株から離れたところで子株がついたりします。
根を下ろした子株を抜き取る際は、あらかじめ土を乾燥させておくとスムーズです。抜き取った子株は少し乾燥させてから植え付けると上手くいきます。
センペルビウムは花を咲かせると枯れてしまうので、花芽が上がってきた段階で子株を切り取ってしまうのが一般的です。
挿し木で増やす場合は、伸びた茎の先端についた子株を切り落とし、挿し穂として使用します。切り口を3~4日乾かしてから用土に植えつけます。
センペルビウムの株分けや挿し木は、生育期である春または秋におこないましょう。
センペルビウムの植え替え
センペルビウムを何年も同じ鉢で育てていると、根が窮屈になって根詰まりを起こしてしまいます。根詰まりは根腐れの原因となるため、2~3年に1度を目安に植え替えをしましょう。
土が痩せて発育が悪くなった時や、水やりの際に鉢底から水が出てくるまで時間がかかるようになってきた時も、植え替えが必要なサインです。
センペルビウムの植え替えは以下の手順でおこないます。
- 植え替えの数日前から水を控えて土を乾燥させる
- 新しい鉢の鉢穴に鉢底ネットと鉢底石を敷く
- 清潔な土を鉢の1/3程度まで入れる
- 鉢から株を抜き出し、根についた土を揉み落とす
- 鉢の中央へ株を置いて土を流し入れ、馴染ませる
- 明るい日陰に置いて約1週間後に水を与える
植え替えの際に株分けや剪定をしてコンパクトに仕立て直すのもおすすめです。傷んだ根や腐った根があれば切り落としてから植え付けましょう。
センペルビウムの植え替えは、生育期となる春または秋の初旬頃が適期です。
病気・害虫
センペルビウムは特に目立った病気の心配はありません。
管理方法によっては茎がひょろひょろと伸びたり葉が開いたりすることがありますが、主な原因は日照不足です。なるべく戸外の日当たりのよい場所に置いて育てましょう。
また、高温多湿の環境では根や葉が蒸れて溶けたように腐ってしまいます。土の水はけは常によくしておき、風通しのよい場所で管理してください。
センペルビウムにつきやすい害虫にはハダニやアブラムシ、カイガラムシなどがいます。
これらの害虫は葉や茎について養分を吸い取り、株を弱らせます。発生したら手や粘着テープで取り除くか、被害が大きい場合は殺虫剤を使って駆除しましょう。
カイガラムシの成虫には薬剤が効きにくいため、歯ブラシなどを使用して擦り落としてください。