クマガイソウの育て方

山野草

膨らみのある変わった形の花を咲かせる野生の蘭、クマガイソウの育て方を解説しているページです。

日本のクマガイソウは絶滅危惧種に指定されている植物ですが、山野草を専門に扱うお店では栽培された株が販売されているため家庭でも育てる事が可能です。また、台湾産のクマガイソウも流通しているため入手は比較的容易な山野草です。

下記ではクマガイソウを育てる際のポイントについて解説しています。

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クマガイソウの特徴

ランといえばみなさんはシンビジウムやデンドロビウムなどの洋ランを思い浮かべるでしょう。

この洋ランに対して、中国や台湾、日本原産のランを東洋ランと呼んでいます。あまりなじみはないかもしれませんが、シュンランやカンラン、フウランなどが比較的知名度は高く、クマガイソウはこの東洋ランの一種になります。

ラン科の植物は花の形が特徴的で、下の花弁がひと際大きくて幅広く、唇弁(しんべん)と呼ばれています。クマガイソウはその唇弁が大きく膨らんだ袋状で、野生のランの中では一番大きいサイズです。

これを武士の七つ道具のひとつである母袋(ほろ=背後からの矢を防ぐもの)に見立てて、源平合戦で活躍した熊谷直実(くまがいなおざね)の名にちなんでクマガイソウと名付けられました。

基本データ

難易度 生息地と同様の冷涼な環境であれば易しいが、温暖地では難しい
流通名 クマガイソウ
成長速度 やや早い
花・種 4~5月に開花。まれに種子をつけることもあるが、ほとんど発芽はしない
日照量 半日陰が理想で、朝の日光だけは十分当ててよい
温度 夏の高温対策が難しく、初心者はほとんど夏越しで失敗する
湿度 根腐れしやすく、水はけのよい用土を使う
花言葉 見かけ倒し、気まぐれな美人、闘志

クマガイソウが好む環境

群生するクマガイソウ
群生するクマガイソウ

日当たりと植えるのに適した場所

東洋ランは山林の木陰に生息しています。クマガイソウも例外ではなく、直射日光を浴びると葉焼けを起こしてしまいます。

といって、まったくの日陰では光合成が不十分で、成長・開花に必要な栄養を蓄えることができません。

朝の優しい日光だけを浴びて、日中は木漏れ日程度に抑えられる場所があれば理想的なのですが、一般家庭ではなかなかそういうところは見つかりません。そこで、まずは乱反射を受けるだけの明るい日陰を探してみてください。第一歩はそこからです。

もうひとつ注意してほしいのは風です。空気が流れずに淀んでいれば人間でも不機嫌になります。できるだけ風通しのいいところを選んでください。

温度・湿度

クマガイソウは北海道の南部から九州にかけてのエリアで自生しています。

そう聞くと関東~九州でも栽培できると思われがちですが、暖地の場合は高度が必要です。

真夏に30度を超える都会で生育させるのは非常に難しく、特に夜間はどこまで温度を低くできるかが大きな課題となります。風通しを兼ねて扇風機の風を当てたり、鉢の周囲を濡らして涼しさを保つなどの努力が欠かせません。

湿度については、水のやりすぎと夏の夜間の蒸れにさえ注意していればいいでしょう。

用土

できるだけ水はけのよい土を使うというのが東洋ランの常識です。

鉢の上から注いだ水がすぐに底から流れ出るほどの水はけが必要で、東洋ラン培養土として販売されているものを使えば問題ありません。

自分で調合する場合は硬質赤玉土や日向土、鹿沼土などの中粒に腐葉土を加えればいいでしょう。桐生砂や矢作砂を混ぜる人もいます。

植え替え時は必ず新しい土を使ってください。古い用土には病原菌や害虫が潜んでいる可能性があります。

クマガイソウを上手に育てるコツ

水やり

鉢植えの潅水は用土の表面が乾いたら与えるというのが基本です。

ただし、クマガイソウの場合は鉢の大きさや置き場所、時期によって変えた方が賢明です。特に注意したいのが夏です。

気温が高い時間帯に水やりをすると鉢内部が蒸れる可能性があるため、気温が下がる夜に行った方がいいでしょう。

夏の水やりは鉢内部の温度を下げると同時に、ハダニ対策を兼ねて葉の裏側まで洗い流します。さらに周囲にも打ち水をして気温を下げてやります。

肥料の与え方

東洋ランは基本的に肥料は必要ありません。肥料を与えすぎて枯れるケースはありますが、やらなくて枯れることはないのです。

ただ、鉢という限られた空間で長期間育てるとどうしても不足する栄養分が出てきます。それを補うのが肥料ということになります。

ハイポネックスのような液肥を規定通りに薄め、春・秋の気温が安定している時期に月に三回ほど、水やりを兼ねて与えます。

冬季は休眠状態ですから必要ありませんし、夏は株が疲れていますから、せいぜい活力剤だけにとどめましょう。

冬越し

クマガイソウは東洋ランの中では珍しく、冬になれば葉は枯れて地上部にはなにもなくなります。

その後は休眠しますから、週一ペースで水やりをします。用土が完全に乾かなければそれで十分です。

注意しなければいけないのは、鉢内が凍ったり解けたりを繰り返さないようにすることです。北日本で鉢を戸外に置いていればどうしても凍ります。

その状態が継続していれば株に負担はかからず、春には芽を出すのですが、凍結・解凍を繰り返すと株は傷んでしまいます。

北向きに移動させて凍結状態を続けさせましょう。

クマガイソウの選び方

花色を確認したければ開花時期に購入するのがベストです。株の勢いがよく、見ることが可能なら根は白く、みずみずしいものを選びます。

葉は虫に食われてなく、色が変わってないものを選定します。葉が傷んでいると株が充実せず、翌年の開花が見込めなくなります。

クマガイソウの増やし方

この植物は匍匐茎(ほふくけい)という地下茎を伸ばして増えていきます。したがって、植え替え時に株分けすることで増やすというのが一般的です。

冒頭で触れたように、種子からはほとんど発芽しません。

また、ラン科の植物は球根のようなバルブを形成し、地上部が枯れたあとの古いバルブを水苔で包んでおけばそこから芽が出ることもある(バルブ吹きと呼ばれる)のですが、クマガイソウはバルブを形成しません。

その点もクマガイソウ増殖の困難さの一因となっているようです。

クマガイソウの植え替え

クマガイソウの匍匐茎は長く、節と節の間が1m以上になることもあります。新芽が鉢に触れると衰弱するため、2~3年に一度は植え替えをしなければなりません。

植え替え時期は春と秋

春・秋とも適期ですが、春は花が咲き終わってからの方が無難です。夏も冬も株に負担がかかりますから植え替えは避けます。

根は優しく扱う

掘り出した株は根を傷めないように優しく扱い、古い土は洗い流します。黒ずんだりして傷んだ根はハサミで切り取ります。

そのとき、ハサミは必ず消毒し、切り口には消毒薬を塗ります。根腐れを防ぐためです。

鉢は大きめを選ぶ

匍匐根が長く成長するため、大きい鉢、またはプランターを利用します。鉢だと最低7号(21㎝)以上を使いましょう。

新芽の位置が鉢の真ん中になるようにします。深さは新芽が軽く隠れる程度です。

病気・害虫

クマガイソウは軟腐病が一番の大敵です。

冷涼な条件ならその心配は不要なのですが、暖地では避けられないと思っていいでしょう。

軟腐病は傷口からバクテリアが侵入して発生しますから、極力株の下の方を傷つけないようにします。予防薬も散布しておきましょう。

害虫はヨトウムシ、カイガラムシ、スリップ、アブラムシ、ナメクジ、ハダニなどに注意する必要があります。

アブラムシとヨトウムシ、ナメクジは捕殺します。株が少なければカイガラムシも捕殺できますが、専用の薬剤を散布しておけば予防はできます。

ハダニやスリップは水に弱く、夏場の水やりの折り、葉の裏側にもかけることで退治できます。

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