キラキラと光る葉が特徴的なジュエルオーキッドの育て方を解説しているページです。
ジュエルオーキッドは宝石欄とも呼ばれる洋ランの一種で、花ではなくその特徴的な葉を楽しむ植物です。
ジュエルオーキッドはその総称で、その中の品種であるマコデスペトラは特に人気があり、代表品種でもありますので主にマコデスペトラについて取り上げています。
このページではジュエルオーキッドの特徴や育て方について解説しています。
ジュエルオーキッドの特徴
ジュエルオーキッドは南アジアから東南アジアなどを原産とするラン科の多年草です。
洋ランの中でも葉の美しさを楽しむ植物として分類されたものであり、マコデス属やアネクトキルス属など、複数の属にまたがる品種が「ジュエルオーキッド」として販売されています。
ビロードのような質感の葉上にきらきら光る刺繍を施したような模様を持つのが特徴で、日本では「宝石蘭」や「森の宝石」とも呼ばれています。江戸時代中後期より観賞用として親しまれてきた美しい植物です。
ジュエルオーキッドは水槽内に水中と陸上を再現したアクアテラリウムで飾られることが多く、園芸店だけでなく熱帯魚の専門店などでも取り扱われています。
小さな苗が比較的安価で売られている一方で、環境の変化に弱いため栽培は簡単とはいえず、管理方法に少し気を使う植物です。
基本データ
難易度 | やや難しい |
流通名 | 宝石欄、ナンバンカモメラン、ジュエルオーキッド、マコデスペトラ |
成長速度 | やや遅い |
花・種 | 白や淡黄色の花が咲きますが、あまり目立たずとりわけ綺麗でもありません |
日照量 | 強い日差しは苦手なので明るい日陰で育てます |
温度 | 25℃前後が理想です。寒さに弱いため最低も15℃以上を保ちましょう |
湿度 | 70%以上の多湿環境を好みますが、50%前後でも育成は可能です |
花言葉 | 美しい淑女、優雅 |
ジュエルオーキッドの花
ジュエルオーキッドも欄の一種なので一応花が咲きます。こちらはマコデスペトラの蕾で、12月初旬に成長点が急に伸び始め蕾を付けました。
こちらは開花したマコデスペトラの花です。とても小さく目立たない花ですが欄を思わせる花を付けました。蕾を付けてから開花するまで非常に時間がかかり、ここまでで1ヶ月半くらいかかったと思います。
しかし、植物は花を咲かせるのに結構な体力を消耗するようなので、この後は花の部分を早々にカットしました。
ジュエルオーキッドが好む環境
日当たりと置き場所
ジュエルオーキッドは高温多湿な環境を好みますが、強い日差しは苦手なので直射日光は避けましょう。
屋内で育てる場合
ジュエルオーキッドは極端な暑さや寒さに弱いため、基本的には屋内で育てた方が良いです。
熱帯植物なので高温には耐えますが、ぎらぎらとした日光は苦手です。窓辺などに置く際はレースのカーテン越し程度の柔らかい光に当ててください。
基本的には直射日光の当たらない風通しのよい場所で管理しましょう。乾燥には弱いため、冷暖房などの風が直接当たらないよう気をつけましょう。
屋外で育てる場合
ジュエルオーキッドは環境の変化にやや弱いためできるだけ室内で育てたいですが、工夫次第では屋外で育てることもできます。
強い日差しが当たる夏場や、霜や雪が当たる冬場を除いた穏やかな季節であれば、風通しのよい明るい日陰での管理が可能です。
日向に置く場合は環境に応じて50~80%の遮光をしてください。直射日光や西日には当てないようにしましょう。
また、屋外はどうしても乾燥気味になるので、見栄えは良くないですが半透明の衣装ケース等に水苔を敷いて蓋を閉めた状態で育てると簡単です。ただし、夏場はケース内が蒸れやすいので定期的な換気は必要でしょう。
温度・湿度
ジュエルオーキッドは熱帯地域を原産とする植物のため温度は25℃前後、湿度は70%以上の高温多湿を好みます。
温度は人が快適に過ごせる環境であれば問題ないですが多湿環境は人の生活環境と合わないため、蓋のついたガラス容器やガラス水槽に水苔を敷いてその中で育てると簡単に保湿が出来て楽です。
湿度が50%前後の環境でも適応は可能ですが、葉が丸まりやすくなるのでこまめに葉水を与えるようにしましょう。
ジュエルオーキッドは耐寒性はほとんどないため15℃以上を保つように管理します。
明るさについては直射日光の当たる場所を避け、明るい半日陰になるような場所が理想的です。
用土
ジュエルオーキッドは一般的な洋ランと同じく、水苔で育てるのがおすすめです。
水はけのよい良質な水苔を選び、水に浸して水分を吸わせ、軽く絞りましょう。常温に戻してから根を包み込むようにふんわりと覆い、一回り大きな鉢へ植え付けてください。
多湿を好む植物なので、苗を植え付ける際はプラスチック製ではなく通気性に優れた素焼きの鉢を使った方が初心者にはおすすめです。
ジュエルオーキッドを上手に育てるコツ
水やり
ジュエルオーキッドは多湿を好む植物なので、植え付けている水苔が乾燥したらたっぷりと水を与えましょう。
鉢底から水が流れ出るくらいの量が目安です。ただし、水苔がいつまでも乾かないと根腐れを起こしてしまうので、受け皿に溜まった水はすぐに捨てるようにします。
ガラス容器やパルダリウム等の多湿環境で栽培している場合は、密閉性が高いので根元に霧吹きで水を吹きかける程度でかまいません。
葉水
ジュエルオーキッドは熱帯性の植物なので多湿を好み、乾燥を苦手とします。湿度不足が続くと葉が丸まり縮れてくるので、一日1回は葉水を与えるようにします。
高温多湿な環境を原産地とするため、暖かい時期に霧吹きで水を吹きかけてあげるとより元気に育つでしょう。
葉水には葉の乾燥を防ぐだけでなく害虫を予防する効果もあります。また、ホコリの付着を防ぐことになるため植物の見栄えを良くするメリットもあります。
肥料の与え方
ジュエルオーキッドはもともと栄養分の少ない環境に自生する植物なので、基本的には肥料を必要としません。
ただし、生育をよりよくしたい場合は、生育期である初夏の間に、規定の濃度よりも薄めた液体肥料を1~2か月に1回を目安として少量施しましょう。
施肥の量や頻度が多いと栄養過多となり根を傷めることになるため、与えすぎには注意します。また、生育期以外の涼しい時期の施肥も株を枯らす原因となるので避けてください。
最初にも述べましたが肥料を与えなくても問題なく成長するので、慣れないうちは肥料は控えましょう。
ジュエルオーキッドの入手について
ジュエルオーキッドは種の保存法により許可が無い者の販売、譲渡が禁止されている植物です。
品種により許可が不要なものもありますがマコデスペトラはその対象なので、購入する場合は環境省に届け出しているお店から必ず購入しましょう。
ジュエルオーキッドの選び方
ジュエルオーキッドを購入する際は徒長しておらず、色が濃く葉に張りのある株を選んでください。
また、ハダニ等の害虫が付いたりもするので、葉の付け根や裏側もしっかり確認しておきましょう。
ジュエルオーキッドの増やし方
ジュエルオーキッドは株分けによって増やすことができます。
株分けとは、親株から子株を切り分けて数が増やす方法です。ジュエルオーキッドをコンパクトに仕立て直したい時にもおすすめです。株分けで増やす場合は、葉を2~3枚つけた子株をひねるようにして切り分けます。この時、子株にも根がついているか確認しながら作業してください。
用土として使用する水苔に水を含ませておき、切り分けた子株の根を覆います。新しい鉢に植えつければ株分けの完了です。
株分けしたジュエルオーキッドはしっかりと根付くまで、風通しがよく直射日光が当たらない半日陰で管理しましょう。乾燥させないようにこまめに水を与えます。
ジュエルオーキッドの株分けは生育期である春から初夏が適しています。
ジュエルオーキッドの植え替え
ジュエルオーキッドは生育が遅めの植物なので頻繁な植え替えは必要ありません。しかし、何年も同じ鉢で育て続けていると鉢に根が回って根詰まりを起こすことがあります。
根詰まりは根腐れの原因となるため、株が成長して鉢の大きさとのバランスが悪くなってきたら植え替えをしましょう。
ジュエルオーキッドの植え替えは以下の手順でおこないます。
- 一回り大きな鉢に鉢底ネットと鉢底石を敷く
- 株を鉢から取り出して根についた古い水苔を落とす
- 新しい水苔に水を含ませて根の部分を覆っていく
- 鉢の中心へジ株を置いて隙間を水苔で埋める
- たっぷりと水を与えて風通しの良い半日陰で管理する
植え替えはジュエルオーキッドの生育期である春から初夏の期間が適しています。
病気・害虫
ジュエルオーキッドは特に目立った病気の心配はありません。
管理状態によって葉や茎がしなしなになることがありますが、主な原因は寒さもしくは乾燥による水切れです。高温多湿を好む植物なので、水やりの頻度や葉水の回数を調整して空中湿度を高く保つようにしましょう。
ジュエルオーキッドにはあまり害虫が付くことはありませんが、まれにハダニの被害に遭うことがあります。
ハダニは葉の裏側に棲みついて養分を吸い取ってしまう害虫です。株が弱る原因となるので、発見したらすぐに霧吹きや粘着テープなどで取り除きます。数が多い場合は、薬剤を使って駆除しましょう。
ハダニは乾燥した環境下で発生しやすいため、定期的な葉水をおこなうことで予防になります。葉水を与える際は葉の表面だけでなく裏側にも水を吹きかけるようにしてください。
また、マコデスペトラにも使えるハダニの駆除剤については下記ページをご覧ください。