春を代表する花のクロッカスの育て方について紹介しています。
紫や黄色、白などの鮮やかな花を咲かせるクロッカスは丈夫で植えっぱなしでも丈夫なため、ガーデニングにも使いやすい植物です。
このページではクロッカスの特徴、育て方、増やし方などについて解説しています。
クロッカスの特徴
クロッカスはヨーロッパの地中海地方や小アジアを原産とするアヤメ科サフラン科(クロッカス属)に分類される多年草です。
春咲き種と秋咲き種に分けられますが、一般にクロッカスと呼ばれるのは春に開花する秋植え球根です。秋咲きクロッカスの代表には香辛料で知られるサフランがあります。
春の訪れとともに花を咲かせる様子は小さいながらも存在感があり、冬の寒さを乗り越えて開花するけなげな姿がかわいらしく、日本でも長く親しまれています。
原種は80種ほど、園芸品種は多数あり、開花時期や花の大きさ、色なども変化に富みます。鉢植えや庭植えのほか、水栽培も可能です。
4~5年植えっぱなしでも毎年花を咲かせるので初心者でも育てやすく、球根が小さいため狭いスペースでも手軽に楽しめます。
基本データ
難易度 | 易しい |
流通名 | クロッカス |
成長速度 | やや速い |
花・種 | 春咲きのクロッカスは2~4月に開花します |
日照量 | 日光を好むので日当たりのよい場所に置きます |
温度 | 寒さには非常に強いため特に防寒は不要です |
湿度 | 多湿に弱いため夏は土の過湿に注意します |
花言葉 | 青春の喜び、切望、愛の後悔(紫)、私を信じて(黄) |
クロッカスが好む環境
日当たりと植えるのに適した場所
クロッカスの生育には日当たりと水はけのよさ、風通しが必要です。
球根を植えてから芽が出るまでは日陰に置いてもかまいませんが、芽が出てから葉が枯れるまでは日光が半日以上当たる場所で管理します。日照不足になると球根が肥大せず、翌年以降の花付きが悪くなります。
多湿に弱いため、土の水はけは常によくしておきます。高温になる夏場に土が過湿状態になると球根が腐ることがあるので、葉が枯れたら掘り上げて風通しのよい日陰で保管するのがおすすめです。
夏に涼しい場所へ移せる鉢植えや、冬に日がよく当たり夏には日陰になる落葉樹の株元のような環境であれば、球根は4~5年植たままでもよいでしょう。
水栽培の球根は1年で消耗してしまうため、翌年も楽しみたい場合は新しいものを購入します。
冬は-15℃まで耐える植物なので防寒の必要は特にありません。クロッカスは一定期間の低温を経験させることで花芽をつけるため、室内で育てる場合も12月いっぱいまでは戸外の寒さに当てるようにします。
温度・湿度
クロッカスは耐寒性が非常に強い植物なので、冬の間の防寒は特に不要です。生育適温は-5~15℃程度と涼しい環境を好みます。
一方で、高温多湿には弱く、花後に球根を植えっぱなしにしていると球根が腐りやすくなります。夏に雨が当たり気温が上がる場所で管理している場合は、球根を掘り起こして風通しのよい涼しい場所で管理してください。
多湿の環境下では病気にかかることもあるので、梅雨時などは土の水はけに気をつけます。
用土
クロッカスは多湿を苦手とする植物です。土が常に湿った状態になると球根が腐ることがあるので、植え付ける用土には水はけのよいものを使用します。
鉢植えの場合は、園芸店などで販売されている球根用もしくは草花用の培養土か、赤玉土(小粒)7:腐葉土3などの割合でブレンドした土がおすすめです。水はけが悪い場合はピートモスや川砂を混ぜると改善します。
地植えで育てる場合、あらかじめ苦土石灰を混ぜて土壌を中和します。植え付ける前によく耕し、腐葉土を混ぜておきましょう。
クロッカスを上手に育てるコツ
水やり
クロッカスの水やりは季節によって量やタイミングが異なります。
球根の植え付けから開花期までは水分を必要とするため、土が乾いたらたっぷりと水を与えます。ただし、土の過湿には弱いので与えすぎには注意してください。葉が枯れて休眠期に入ったら水を与える必要はありません。
地植えの場合は球根を植えてから根が張るまでの1か月ほどはしっかりと水を与えますが、その後は降雨のみでかまいません。極端に乾燥したときのみ、水やりをします。
クロッカスの花びらは傷みやすいため、水やりの際は花に水がかからないよう根元から与えましょう。
肥料の与え方
クロッカスの球根を植えける用土には、あらかじめ緩効性肥料を均等に混ぜておきます。地植えの場合は、肥料とともに腐葉土をすき込んでおきましょう。
開花したら追肥として粒状の化成肥料を株元に置き肥するか、葉が枯れるまでの間に規定の濃度に薄めた液体肥料を月に2回施します。
追肥にはカリ分の多い肥料を使用すると球根が肥大しやすくなり、翌年以降の花付きがよくなります。
芽が出てから花が咲くまでの間は肥料を与える必要はありません。栄養過多になると根が弱り、病気にかかりやすくなるので注意してください。
冬越し
クロッカスは耐寒性に優れた植物なので、冬越しのための防寒対策は特に必要ありません。鉢ごと雪に埋まっても春には芽を出すので、冬場も戸外に置いて管理することができます。
冬の間に一定期間の低温を経験させないと花芽がつかなくなるので、室内に飾りたい場合も12月いっぱいは戸外の寒さに当ててください。
水栽培で育てる場合も寒さに当てる必要があるため、球根を封筒や紙袋に入れ、2か月ほど冷蔵庫で保管してから栽培するとよいでしょう。
クロッカスの選び方
クロッカスの球根を買う際は、全体的に丸みを帯びていてふっくらしたものを選びます。
実際に1つ1つ球根を手に取り、大きさや重さを感じるものを購入してください。できるだけ分球しておらず、傷がないものがおすすめです。
クロッカスの増やし方
クロッカスは、球根を掘り上げた際に古い球根の上にできる新しい球根を分けることによって数を増やすことができます。
土の中で自然に分球するため、人為的に傷をつけたりする必要はありません。芽の数だけ新しい球根ができるので、手やカッターで丁寧に取りはずしましょう。
ただし、日照や肥料が不足していたり、球根の数が増えすぎたりすると、球根が十分に肥大しないことがあります。小さな球根では花が咲きにくいため、植え付けたときと同じくらいの大きさの球根のみを選びます。
分球して増やした球根は、風通しのよい日陰に置いて切り口を乾燥させたら、ネットなどに入れて涼しい場所で保管してください。
6月頃に分球して保管し、10~11月に球根2個分の深さに植え付けます。できれば球根2個ほどの間隔を空けるのがよいでしょう。
クロッカスの植え替え
クロッカスは葉が枯れた頃に球根を掘り上げて再び秋に植え付けるか、新しい球根を購入して育てるのが一般的です。花芽をつけた後の植え替えは基本的におこないません。
多年草なので毎年球根を掘り上げる必要はありませんが、植えっぱなしにしていると土が痩せてくるので、長くても4~5年に1回は掘り上げるようにします。
その際、新しい球根がついていて大きさが十分であれば分球します。再び植え付けるときには新しい土を使用しましょう。水栽培の球根は1年で消耗するため、翌年もう1度植えることはできません。
病気・害虫
クロッカスがかかりやすい病気には「モザイク病」や「軟腐病」があります。
モザイク病は、ウイルス性の伝染病で、発症すると花びらや葉に斑が入ったりまだら模様が現れたりします。
軟腐病は、植物に細菌が入り込んで葉を腐らせる病気です。高温多湿な環境下で発生しやすいため、土の水はけは常によくしておきます。
いずれの病気も発症した箇所が元に戻ることはないので、発見したら速やかに取り除いてください。軟腐病は薬剤を吹きかけることによりある程度の予防が可能です。
クロッカスに害虫がつくことはあまりありませんが、土の水はけが悪いと球根が腐りやすくなり、ネズミや野鳥などの食害に遭うこともあります。
多湿に弱い植物なので、水を与えすぎたり夏場の長雨に当てたりするのは避けましょう。
クロッカスの毒性や危険性について
クロッカスの球根には、人が食べると中毒になるような毒はありません。
しかし、犬や猫などの動物にとっては、強い毒にはならないものの有毒だとされています。誤って口にすると下痢や嘔吐などの胃腸障害を引き起こす可能性があります。
ペットや小さい子どもがいる家庭では、なるべく手の届かない場所で管理するようにしてください。