フィロデンドロン・セロームは大きな切れ込みのある葉が特徴的な観葉植物です。
このページではセロームの育て方について解説しています。
スポンサーリンク
セロームの特徴
セロームは熱帯アメリカを原産とするサトイモ科フィロデンドロン属の常緑多年草です。
フィロデンドロンには700種もの品種が存在すると言われおり、つる性と直立性のものに分けられます。セロームは直立性で、成長すると茎が木質化して幹のように立ち上がります。
セロームの葉は、幼いうちは丸みを帯びていますが成長すると羽状に深い切り込みが入ります。葉は古くなると剥がれ落ち、その跡が目玉のような模様になるのが特徴です。
セロームは、光沢のある深緑の葉と風格のある幹がエキゾチックな印象を与える観葉植物です。耐陰性があり成長スピードも速く丈夫なので、育てやすい植物として人気があります。
南国風の存在感がインテリアの雰囲気を大きく変えるセロームですが、葉を大きく広げるため育てる場所にはある程度の広さが必要です。
基本データ
難易度 | やや易しい |
価格 | 3,000円〜30,000円(7号サイズ) |
成長速度 | 早い |
花・種 | 仏炎苞の中に花を咲かせますが滅多に見られません |
日照量 | 日光を好みますが耐陰性があるため室内でも育ちます |
温度 | 暑さには強いですが冬は5℃以上を保つようにします |
湿度 | 多湿を好みますが土の過湿は根腐れの原因になります |
花言葉 | 用心深い人 |
セロームが好む環境
日当たりと置き場所
セロームは日光を好みますが葉焼けを防止するため直射日光には当てないよう注意してください。
屋内で育てる場合
セロームは耐陰性があるため屋内でも育ちますが、日当たりの良い場所に置くと元気な株に成長します。なるべく窓際などの光が当たる場所で管理してください。
ただし、直射日光には弱く、強い日差しを当てると葉焼けを起こしてしまうため、レースのカーテン越し程度のやわらかい光を当てるようにします。
葉が乾燥すると傷んでしまうので、エアコンなどの風が直接当たらない場所に置きましょう。
屋外で育てる場合
セロームは春から秋かけて屋外で管理することができます。
しかし、直射日光が当たりやすい屋外では葉焼けを起こす可能性があります。遮光ネットや寒冷紗を使って30%〜50%の遮光をしましょう。遮光率は育てる環境に合わせて調整してください。
セロームは暑さに強いものの気温が高くなりすぎると葉焼けが起きやすくなるので、40℃を超える場合は日陰に移すようにします。
温度・湿度
セロームには耐寒性があるため、雪や霜がつかない暖地であれば地植えでも冬越しが可能です。
ただし、暖かい時期にしっかりと日に当てて管理をしないと寒さに弱くなるので、冬の期間は5℃以上を保てる室内へ置いたほうが安心です。
気温が15℃前後になると成長が緩慢になります。ベランダなどで育てている場合は15℃を切ってきたら屋内へ取り込みましょう。
セロームは多湿を好む植物ですが、根腐れを防止するため水はけの良い用土を使用してください。
用土
セロームを植える用土には水はけの良い土を使用し、根腐れを防ぎます。
ホームセンターなどで市販されている観葉植物用の土を用いるのが最も簡単な方法です。自作する場合は、赤玉土(小粒)6:腐葉土:3 軽石:1などの割合でブレンドした土を使用してください。
土の表面に赤玉土や化粧砂、鹿沼土などの無機質の用土をかぶせるとコバエの発生を防止することができます。
を上手に育てるコツ
水やり
セロームは気温によって生育スピードが異なるため、季節によって水やりのタイミングを変える必要があります。
春から秋にかけての生育期には土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えます。鉢底から水が流れ出す程度の量が目安です。受け皿に溜まった水は根腐れの原因となるため捨てるようにしましょう。
冬場はセロームの成長が緩慢になるので水やり回数を減らしてください。土の表面が乾いてから2〜3日後に水やりをします。
寒い時期はやや乾燥気味の状態に保つことで、樹液の濃度が高まり耐寒性を高めることができます。
葉水
土への水やりに加えて、葉にも水を与えましょう。霧吹きなどで水を吹きかける葉水は、葉の乾燥を防ぎ害虫の付着を予防する効果があります。
セロームは葉が大きくホコリが積もりやすい植物です。ホコリは光合成の妨げになるので、積もっていたら葉水の際に水で濡らしたティッシュペーパーなどで拭き取るようにしてください。
葉水にはセロームの葉に光沢を与えて株の見栄えを良くする働きもあります。
肥料の与え方
セロームは肥料を与えなくても育ちますが、与えると成長が速くなります。
施肥する場合、セロームの生育期である春から秋にかけて固形の緩効性肥料を2か月に1回のペースで与えてください。もしくは適切な濃度に薄めた液体肥料を10日〜2週間に1回を目安に与えるようにします。
ただし、成長が緩やかになる冬の時期には栄養過多となるため肥料は不要です。また、株を大きくしたくない場合の肥料は控え目にしましょう。
セロームの選び方
セロームを購入する際には害虫が付いていないか必ず確認しましょう。
害虫が付着した株を買ってしまうとセロームが傷みやすくなったり、他の植物に移ったりする可能性があります。
セロームは大きく光沢のある葉が特徴なので、なるべく葉の数が多く健康的な株を選ぶようにしてください。
セロームの増やし方
セロームは挿し木または株分けで増やすことができます。
セロームの挿し木は、幹の下から出ている丈夫な茎を10cmほど切り取るところから始めます。切り口の樹液を洗い流し、斜めにカットして1時間ほど水に浸します。
葉を2〜3枚残した茎をパーライトとバーミキュライトを混ぜた土に挿し込み、土が乾燥しないようにこまめに水を与えます。
1〜2か月経ち十分な発根を確認したら、鉢へ植え替えて通常通り管理します。
セロームを株分けで増やす場合、新たにできた子株を親株から取り分ける方法で株を増やします。
土から抜き出したセロームを手やナイフを用いて親株と子株に切り分け、切り口を乾かします。それぞれの株を適切なサイズの新しい鉢へ植え付ければ完了です。
挿し木や株分けのタイミングは5〜6月が最も適しています。
セロームの植え替え
セロームは根の成長が速く太く発達するため根詰まりを起こしやすく、早めの植え替えが必要です。根詰まりは落葉や根腐れの原因にもなるので、1〜2年に1回を目安に一回り大きい鉢へ植え替えをしましょう。
根が鉢底からでてきたり水の吸収が悪くなったりした時も植え替えのサインです。
セロームの基本的な植え替えの手順は以下の通りです。
- 一回り大きな鉢に鉢底ネットと鉢底石を敷く
- 清潔な土を鉢の1/3程度まで入れる
- セロームを鉢から抜き取り根をほぐしながら土を落とす
- 鉢の中央へセロームを置き、土を追加する
- 水をたっぷりと与え、落ち着くまで半日陰で管理する
植え替え時期はセロームの成育期である5〜9月が適しています。
病気・害虫
セロームがかかる病気には軟腐病が挙げられます。
軟腐病にかかると根から茎にかけて柔らかくなり、葉が腐って悪臭を放ちます。そのまま放っておくと腐った部分が増えていき、株全体に広がります。
軟腐病は、植物の傷口から入り込んだ細菌が原因となって発病します。細菌に効く薬剤もありますが効き目が遅いため、症状を発見したらすぐに被害箇所を切り取って処分してください。
セロームに付きやすい害虫にはハダニやカイガラムシがいます。
害虫が植物に付着すると養分が吸い取られて株が弱ってしまうので、発見次第すぐに霧吹きや粘着テープなどで取り除きましょう。被害が広い場合は殺虫剤を吹きかけて駆除します。
ただし、カイガラムシの成虫には薬剤が効きにくいため歯ブラシなどでこすり落とすようにしてください。
セロームの毒性や危険性について
セロームが属するサトイモ科の植物から出る白い樹液には、シュウ酸カルシウムが含まれています。
この樹液に直接触れると体質によってはかぶれやかゆみを引き起こす場合があるので、選定の際には軍手やゴム手袋を使用しましょう。
また、犬や猫がセロームを誤食すると口内の炎症や痙攣などの中毒症状を起こす可能性があります。
セロームを育てる場合は、小さい子どもやペットなどが誤って口にしないよう置き場所には十分注意してください。