料理の薬味としてあると便利な、葉ネギの育て方をまとめているページです。
小ねぎ、細ねぎ、万能ねぎ等とも呼ばれ、青い葉の部分を食べるネギで、万能と付く位なので多くの料理に利用されています。薬味としての出番が多い食材でもあるので、家庭菜園で植えておけば欲しい時に必要な分だけ収穫できて便利です。
下記では葉ネギを上手に育てるポイントについて解説していきます。
葉ネギの特徴
葉ネギは中国西部や中央アジアを原産とするヒガンバナ科ネギ亜科ネギ属の植物です。薬味として欠かすことができない野菜としても知られています。
葉ネギは長ネギと比べても土寄せをする手間等をかける必要もなく、寒さにも強いです。プランターでも簡単に育てる事ができる野菜なので、家庭菜園の入門編としてもおすすめします。
以前は西日本で多く利用されている傾向がありましたが、今では全国的にスーパー等で販売されているのを見かける様になりました。
長ネギに比べて軟白した部分が少なく、地上部に伸びた青い葉の部分が多いです。
葉の部分を食べるため、βカロテン、ビタミンC、ビタミンKといったビタミンをはじめとしてカルシウムも含まれています。アリシンという成分がビタミンB1の吸収を良くする働きがあり、血行を良くしたり疲労回復をするといったサポート面にも優れた野菜です。
基本データ
難易度 | 育てやすい |
流通名 | 葉ネギ、九条ネギ、万能ねぎ |
成長速度 | ゆっくりめ |
花・種 | 長ネギと同じ様に白いネギ坊主の花を咲かせ、茶色または黒色の小さな種ができます |
日照量 | 日なたを好む |
温度 | 耐寒性があります |
湿度 | 多湿には弱い |
花言葉 | くじけない心、笑顔 |
葉ネギが好む環境
日当たりと植えるのに適した場所
葉ネギは日当たりを好む野菜なので、日なたの場所を選んで植えてください。
日なたの場所が難しい場合は、やや日陰気味の場所でも育ちます。根を広げて育つ事はないので、比較的狭い場所でも植える事も可能です。
連作についてはおすすめできません。
2~3年同じ場所で栽培し続けると収穫量が落ちたり病気が発生しやすい例もありますので、あまり長い年数で同じ場所に植え続けないでください。目安としては2年程度間を空けます。
ベランダ等の家庭菜園を行う場合も同様に日当たりが良い場所に置くと良く育ちます。
葉ネギは湿度が高いのを嫌いますので、風通しが良い場所を選んで置いてください。エアコンの室外機のそばは熱風と強風が当たるので、室外機の風は当たりにくい場所を選びます。
温度・湿度
葉ネギの生育に適した温度は20℃前後です。種まきの時に適している温度が15℃~20℃あたりで、生育に関しては20℃~25℃くらいが適しています。
種をまいた場合発芽するまでは土が乾燥しない様に管理して発芽させていますが、葉ネギは多湿に弱い傾向があります。
多湿状態が長く続くと病気になりやすいので、多湿状態にならない生育管理を意識しましょう。多湿状態を避ける対策の一つとして、水はけのよい土壌を選んでください。
風通しが良い環境にし、発芽後は乾かし気味に育てるのがポイントです。
用土
葉ネギは酸性の土壌を嫌う傾向がありますので、中性からアルカリ性の土壌にしておく必要があります。
屋外で葉ネギを植える場合は、植える予定の2週間前から石灰を撒いてよく耕しておきます。1週間前に元肥と化成肥料を混ぜ耕しておき馴染ませておき準備をしておきましょう。
ベランダで家庭菜園を行う場合は、ph調節の手間を考えると野菜用の園芸培養土を利用したほうが便利です。鉢やプランターに植える場合は幅や深さが15㎝以上あるものを選んでください。
葉ネギを上手に育てるコツ
水やり
葉ネギの水やりに関して、種を植えたばかりの時は発芽するまで乾燥は避けてください。同様に苗を植え付けたばかりの時は1週間ほど土が乾燥しない様に水やりをするとよいです。
発芽した後は根腐れや多湿による病気を防ぐためにも乾燥し気味に育てます。
基本的に地植えの場合は発芽後、水やりは不要です。
プランター、鉢植えの家庭菜園で育てている場合は土が乾いたと確認した後に水をやります。
水やりのタイミングは朝か夕方がおすすめです。昼間に水やりをすると根を傷めてしまう可能性がありますので避けてください。
肥料の与え方
葉ネギは植える前に元肥を混ぜ込んでおいた方が良いですが、20㎝程度の大きさに育ったあたりから追肥をする事をおすすめします。
追肥は液体肥料を1週間おきに与える方法でも良いです。もしくは2週間おきに化成肥料を施します。
肥料はチッソが多めの配合のものを選ぶのがおすすめです。チッソ量が多いと葉の茂りが良くなります。
追肥の際に注意したいのは肥料のやりすぎです。肥料のやりすぎが原因でカビ病やさび病になる可能性もありますので、様子を見つつ与えてください。
冬越し
葉ネギは耐寒性のある野菜なので冬でも元気に育ちます。
水を少なめに育てていくため凍ってしまう事もあまりないです。引き続き水を控え気味、乾燥気味にして育ててください。
また、葉ネギ自身も凍らない様に糖分が増している状態で生育していきます。越冬時も地植えしている場合、雪が降る地域の栽培では特にわらをかぶせるといった対策の必要もありません。
特に雪が降らない地域でもそのままの地植え状態で冬を越す事ができます。プランター、鉢植えでもそのままの状態で生育しながら冬を越すことが可能です。
葉ネギの選び方
葉ネギは5月ぐらいになるとポット苗で販売されます。苗を選ぶ際は葉の色が濃い苗を選び、葉に変色等が見られない苗を選びます。
全体的に色むらが見られたり、茶色っぽい変質箇所がいくつか見られる場合はべと病やさび病の可能性もありますので、色むら、変質箇所がないポット苗を選んでください。
種から簡単に栽培する事もできるため、種を入手して育てるのもおすすめです。
種を選ぶ際に色々と種類が多いですが、万能小ねぎ、万能葉ネギ、小春、九条ネギ(浅黄九条)等が人気です。どの種類も育てやすいので、お好みで選んでください。
葉ネギの増やし方
葉ネギは種を植える事で簡単に増やせます。
栽培して30㎝程度の大きさになったら株ごと引き抜く、もしくは地面から5㎝程度の高さのところで切り取るという収穫法です。切り取る収穫の場合、以降も伸びていって長い間収穫を楽しむことができます。
4月~5月くらいで温かくなってくるととう立ちしてきます。
とう立ちすると葉が硬くなるので、抜いて収穫してしまっても良いのですが、そのまま置いておくとギボシの形をしたつぼみが出てきます。
更にネギ坊主と呼ばれる花が咲き、そのまま置いておくと種が出来ているので、種を収穫する事で再び植える事ができます。
葉ネギの種は好光性種子なので、植える際に土は5㎜程度かける程度で良いです。1年以上経過した種は発芽率が悪くなりますので、発芽しない可能性があります。
葉ネギの植え替え
葉ネギは種から栽培している場合、スジまきして5cm程度の大きさになってから徐々に間引いていく方法がおすすめです。
もし育苗をしていて植え替えるという場合は、葉の数が3枚程度になってから植え替えます。植え替える際には、10㎝ぐらいの深さの穴に4、5本程度をまとめて10㎝~15㎝間隔で植えます。
購入してきたポット苗から植え付ける場合は、ポットから苗を出し、同じ様な要領で植えてください。
植え替える際に4、5本程度をまとめますが、この際、大きさをある程度揃えておくと良いでしょう。植え替えた後は根付かせるためにたっぷりと水やりをします。
病気・害虫
葉ネギで多く見られる病気はべと病とさび病です。
べと病は葉の部分に黄色っぽい病斑ができます。さび病は葉の部分に橙色の小さな斑点が出現する病気です。
共に多湿条件が原因で起こるのと、さび病に関しては肥料過多が原因になる事もあります。また、連作や土壌消毒が充分ではない場合、根元部分から枯れ死していく白絹病になる場合もあります。
虫による害は茎の表面に白や黒の斑点ができるアザミウマ、白い斑点やスジができるハモグリバエ、葉に穴が開くネギコガ等、他にもアブラムシ、ネキリムシによる被害もあります。
いずれも見つけ次第駆除しましょう。